はじめに
以前は静電容量無接点方式のキーボードが欲しくなり、コンパクトサイズで日本語配列ならHHKB一択でした。ところがRC1発売により選ぶことが出来るようになりました。選択肢が増え嬉しいのですが、悩みが増えたとも言えます。
そこで、Windowsとアップル系OS(Mac、iPad)の両方で使用している私の体験から、
- HHKB Professional HYBRID Type -S 日本語配列
- REALFORCE RC1 日本語配列
この両者の良いところとイマイチなところを見ていき、どっちがオススメか考えてみましょう。
前提
前提として日本語で文章を作成する用途を想定しています。プログラミングを考慮してキーボードを選ぶならファンクションキーのあるUS配列を選ぶのが良いと思います。
はじめに結論
REALFORCE RC1がオススメです。
使用するアプリや自分の変化に対応できるREALFORCE RC1をオススメします。
両者に共通する問題点
下記の2つの問題点はキーボードのサイズに由来するものです。この2点を許容できないなら、75%キーボードと言われるサイズのキーボードか、それより大きいテンキーレスサイズを選ぶことになります。このサイズのJIS配列では1つ目と2つ目の問題が現状解決出来ません。
下から2段目(Z、X、C~)が左に少しズレている点
通常は「A」の中心真下に「左Shift」と「Z」の隙間が有るのですが、3mmから4mmほど左にズレています。
この点を避けようとすると、HHKBはUS配列になります。REALFORCE RC1ならばUS配列もJIS配列も同じ問題を抱えています。
右Shiftが小さい
右手小指の下にShiftが無いのは、英文はもちろん、日本語文章でもアルファベットの人名や商品名を入力する回数が多い人は困るのかもしれません。打ち方に依るので、気になる人は自分のタイピングを撮影してみると良いと思います。
HHKB Professional HYBRID Type -S 日本語配列の良いところ
スペースキーの右側にキーが多い(Fnがある)
左の「Fn」を「Ctrl」にして標準的な配列に近づけようすると、右の「Fn」は使う場面が増えます。スペースキーの右に「Fn」が有るのは助かります。
HHKBのUS配列ほど変態配列ではない
HHKBは変態配列と言われますが、それはUS配列の方です。JIS配列ならキーマップ変更ツールを使ってカスタマイズすれば標準的な配列に近づけることは出来ます。ファンクションキーは「Fn」と同時押しで再現することになりますし、配列変更できないキーもあるので限界はあります。
Ctrlの位置がAの左
左「Ctrl」はこの位置がベスト。それを強制的に教えてくれるのがHHKBです。この位置に慣れることができればHHKB JISは快適に使えるようになりますし、他のキーボードでもAの左にCtrlを配置したくなります。
ホームポジションから手をあまり動かさない省エネタイピングが出来る
「Ctrl」の位置とFnレイヤーのキーの位置を体で覚えてしまえば、ホームポジションから殆ど動かない、手首より先だけ動かす省エネタイピングが出来るようになります。JIS配列でも「Fn」同時押しでカーソル操作するようにFnレイヤーを配列変更することで、手の移動は減らすことが出来ます。
HHKB Professional HYBRID Type -S 日本語配列のイマイチなところ
買ってきてすぐに普段通りに使用できない
配列が独特なのでDIPスイッチによる配列変更を試してみる時間が必要です。
慣れたら慣れたでキー配列変更ツールを使うために変更ツールの仕様を把握して試行錯誤する時間が発生します。
購入して即仕事に投入するのがキツイです。
キー配列変更出来ないキーが存在する
キー配列変更ツールを使っても全部のキーの配列をいじることは出来ません。標準的な配列にあと一歩のところで止まってしまいます。デフォルトで機能が割り当てられている一部のキーは割り当て変更できません。
過去記事:HHKBキーマップ変更ツールの使い方と罠について
Ctrlの位置がAの左。
この位置のCtrlに慣れることが出来ないとHHKBはストレスが貯まると思います。
「Ctrl」+「A」、「Ctrl」+「C」、「Ctrl」+「V」等であれば慣れる。
「Ctrl」+「Shift」+「何か」、「Ctrl」+「Alt」+「何か」等を使うことが多いと戸惑う。
不思議なことにHHKBのUS配列だと「Ctrl」の位置は気にならないのです。HHKBのJIS配列を使っていると、「Ctrl」のつもりで左下の角にある「Fn」を押してしまいます。
中途半端なキーは思い切って無くしてしまうほうが、タイプミスが減るのかもしれないですね。
「半角/全角」が左下(HHマーク)にある
通常は左上にある「半角/全角」キーが左下にあるのはビックリします。しかし、「変換」「無変換」をIMEのON、OFFに割り当てていれば、「半角/全角」キーは不要になるので、どこに有っても気にならなくなります。IEMの設定をオススメします。
過去記事:Google日本語入力で「変換」「無変換」にIMEのON・OFFを割り当てる方法です。
ショートカットは割り当てる事が出来ない
キー配列変更ツールは配列変更のツールであって、機能を割り当てるツールでは無いと思ってください。
REALFORCE RC1の良いところ
買ってきてすぐに使用できる。
これは非常に重要なことだと思います。
ノートPCのキーボードの配列に近いので慣れる時間が必要ない。
キー配列の変更が柔軟(REALFORCE CONNECTが便利)
- デフォルトでBluetooth制御などに割り当てられているキーでも割り当て変更可能
- ショートカットを割り当てる事が可能
HHKB配列変更ツールよりは自由度の高いアプリですがVIA/QMKのようにやりたい放題ではありません。
キーマップを4種類作成出来て接続先切り替えも容易。色んなOSが混在している環境で使いやすい
Windows用とMac用、iPad用など、全部で4つのキーマップを作成出来て、切り替えも簡単。WindowsとiPhone・iPadの組み合わせで使う人が珍しくありません。そんな人達にはキーマップと接続先切り替えが素早く出来るのは魅力的です。使ってみて実際便利です。
ファンクションキーがある(F1からF12)
ファンクションキーを使っていないなら仮想デスクトップの切り替えなどを割り当てると便利です。
APC(アクチュエーションポイントチェンジャー)機能
この機能には本当に助けられました。以前は底打ちするところまで強く打鍵していましたが、この数年は押下圧が下がりました。キーを一番下まで押し込まない打ち方になってきています。押下圧45gのモデルを購入したのですが、30gの方を選んだほうが良かったのかもしれません。
買ってから自分が変化したので、買い替えるか意識的に強く打つようにするか。でもAPC機能があります。初期設定で選べるアクチュエーションポイントは0.8mm、1.5mm、2.2mm、3.0mmです。0.8mmにして使うことで使いやすくなりました。
APC機能は多くのユーザーに合わせるための機能と思っていましたが、変化していく自分に合わせることが出来る機能でもありました。
APC機能について詳しくはレビュー記事を御覧ください。ボリュームが有って読むのが大変なので、リンク先の目次から該当部分に飛んでください。
REALFORCE RC1のイマイチなところ
バッテリー充電式(乾電池式ではない)
「キーボードは馬の鞍」「乾電池式だからキーボード自体を長く使える」とユーザーに植え付けてきたHHKB陣営と、REALFORCE R3にもそれを当てはめ宣伝してきた人たち。彼らに影響されてきたユーザーには充電式はマイナス要素に見えてしまいます。
充電式を褒めれば乾電池式だから良いと言っていた今までの宣伝は何だったの?となり、乾電池式を褒めれば 充電式のRC1にはマイナス効果になります。過去の宣伝がRC1にはマイナスに働いてしまいました。
今日までHHKBやインフルエンサーに影響を受けてこなかった人には気にしなくてもいい点かもしれません。キーボードは充電式でバッテリー劣化とともに買い替える時代なのでしょう。
有線接続で使用する場面が多いなら、買う買わないを左右するほどの事ではありません。
充電式には良い面もあります。PCとキーボードと充電器またはモバイルバッテリーをいつも持ち歩いている人には、急に電池が必要になることのほうが面倒です。
黒は刻印が見えにくい。白は白すぎる
カラーバリエーションが極端です。黒が見えにくいかもという点についてはRC1のレビュー記事で触れていますので、そちらもご覧ください。
白は白いグッズでデスク上を埋めて、デスクツアー動画を取りたい人やSNSで取り上げられる事を狙ったカラーです。つまり白すぎる白でアクセサリーのようです。
徹底的に堅実に作られている製品なのに、カラーだけ極端な選択肢しかありません。
まとめ
キーボードとしての作りの良さは両者に共通しているので、キー配列と専用ソフトウェアの差がどちらを買うかを左右します。
HHKB JIS配列は
- 標準的な配列に近づける事はできるが、配列変更に制約があり完全に一致させることが出来ない。よって慣れる時間が必要
- 左「Ctrl」の位置に慣れてしまうえば、手の動きが少ない省エネタイピングが出来る
- DIPスイッチとキー配列変更ツールは簡単に使えるように見えてクセがある。
REALFORCE RC1は
- 買ってすぐに使用できる(使い方を調べたり、練習したりしなくていい)
- REALFORCE CONNECTを使った配列変更の自由度が高い
- 4つのキーマップを作成できて切り替えも接続先変更も容易
その結果Windowsとアップル系OS(Mac OS、iOS、iPad OS)の端末を行き来するユーザーにオススメできる
APC機能のところで書いたように、今の自分だけではなく今後の自分の変化に対応できる余地があるのがREALFORCEの良い点です。今はファンクションキーを多用していなくても、別のアプリを使うようになってファンクションキーが必須になるかもしれません。私のように押下圧が弱くなっていくかもしれません。
iPadは特殊な端末では無くなりました。2種類のOSを使うユーザーが増え、2種類のOSで操作を近づけたいと思うユーザーも増えたことと思います。私もWindowsとiPad(Mac、iPhoneも)を使うユーザーです。配列変更してOS間の溝を埋めようとして、REALFORCE CONNECTの出来の良さに助けられました。
iPadが当たり前の時代なら、配列変更の自由度が高いREALFORCE RC1の方がオススメになります。
さいごに
今回の内容はJIS配列に限定して比較してみました。使用用途も日本語での執筆を想定しています。良い点・イマイチな点として見てきた項目も、私の体験から限定的にリストアップした項目に過ぎません。
US配列、別の用途、別人が記事を書くとなると、別のチェック項目が並ぶと思います。どちらがオススメなのかも変わると思います。
どちらが良いかの前に、「両者に共通する問題点」は受け入れる必要があるので、そこだけはご自身のタイピングのクセを録画するなどして確認することをオススメします。
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