はじめに
発売を楽しみにしていたので日本のアマゾンに登場してすぐに購入したのですが、不具合を発見し現在サポートとやり取りをしています。(2025年5月中旬時点)
私が購入した個体で実際に発生したことを書いていますが、他の個体でも発生する問題なのか、他の個体は大丈夫なのかはなんとも言えません。
まず結論
- 有線接続キーボードとしてなら、打鍵音を楽しむ65%キーボードとして不満がない。
- Bluetoothと2.4Ghz接続時に問題があるので、無線オンリーの人は待ちです。
- 私個人としてはハードウェア面95点。ソフトウェア面60点。
特徴
- 65%キーボード。
- Del、PgUp、PgDnの左に隙間あり。
- アルミ削り出しの重量感ある筐体。
- Bluetooth接続、USB有線接続、2.4gHz無線接続USBドングル使用の3種類の接続方法がある。
- 右上にノブあり。
- キーキャップはCherryプロファイル。交換用のキーキャプを入手しやすい。
- VIA対応でキーマップ変更が柔軟。
- 南向きのRGBライトで強めに光らせることが出来る。
- 反響音もなくクリーンな打鍵音。
- 重量感ある筐体で所有欲が満たせる。
- 技適認証取得

サイズ・重量
サイズ:320 x 116 x 43mm
重量:1.285kg
付属品

- 説明書
- 予備キースイッチ
- キープラー
- USBケーブル USB-C-A
- 2.4Ghz接続用USBドングル
- 六角レンチ

接続方式

Bluetooth接続は3台のデバイスとペアリング可能。
USB有線接続はキーボード側Type-C。
2.4gHz無線接続ドングルは背後に収納できる。
キースイッチ
Switch Name | Epomaker Zebra Switch | Wisteria Linear Switch |
---|---|---|
Switch Type | 5-pin Linear, Factory Lubed | 5-pin Linear, Factory Lubed |
Trigger Force | 40±3 gf | 45±3 gf |
Bottom-out Force | 45±5 gf | 62±5 gf |
Pre-Travel | 1.8±0.3mm | 2.0±0.3mm |
Total Travel | 3.8mm | 3.6±0.3mm |
Material | POM (Stem), PC (Top Case), Nylon (Bottom Case) | POM & PTFE (Stem), PC (Top Case), PA66 (Bottom Case) |
Life spans | 5,000,000 | 5,000,000 |
引用元
EPOMAKER Wisteria Switches Set
打鍵感・打鍵音
押下圧45gのWisteria Linear Switchを選んだのですが、HHKB、REALFORCE RC1の45gより軽く感じます。NiZ Mini84 Proの35gよりは重いです。
同じ45g圧でも、メカニカルリニアと静電容量無接点方式では機構が違うので、より軽いと感じているだけかもしれません。45gのHHKBより軽いと感じる人がいても、重いと感じる人は稀だと思います。
NKROと6KROの切り替えができる?
NKRO(Nキーロールオーバー)と6KRO(6キーロールオーバー)を「Fn」+「N」で切り替え可能です。
EPOMAKERの考えるNキーロールオーバーと6キーロールオーバーの定義が分からないので、未検証です。
USB接続の限界が6KROだったようなのですが、今の有線接続では7キー目以降も入力を認識出来るのでしょうか。切り替えができる以上、EPOMAKERなりに定義付けをしてあるはずなのですが、切り替えて使ってみても違いが分かりません。
下記URLにあるように、Nキーロールオーバーの定義は曖昧です。リンク先に良い表現がされている場所があるので紹介させていただきます。
「新たなUSBキーボード特有の制約により生まれた差異をうまく表現できないかな、という欲求から用語の語意の乗っ取りが生じた」
Nキーロールオーバーって何?を調べていくと、ここが重要なポイントになっていると思います。PS/2ポート時代、USB登場以降、中国メーカー台頭、ゲーミング市場誕生と時代が変わって用語に変化があるようです。
現在は中国メーカーが製品を連発する時代を経て、さらに進んでゲーミング市場が出来上がっています。すると、中国メーカーによる売るための独自解釈と、ゲーミング市場が求める機能を「Nキーロールオーバー」という用語に当てはめて、さらなる用語の語意の乗っ取りが生じているかもしれません。
Nキーロールオーバー – みねこあ
続 Nキーロールオーバー – みねこあ
スリープとVIAの問題が解決すれば、この辺も検証するかもしれません。
スリープ
- パワーセービングモード:3分間放置でバックライトが消灯。
- ディープスリープ:30分放置でBluetooth切断。これが機能していない。
P75、Galxy70のような専用アプリはなく、スリープ時間の変更が出来ません。
もしかすると、専用アプリで管理していた機能の一部(スリープなど)が、アプリを無くしたことで消えてしまった可能性もあります。専用アプリを無くしたのに機能追加しなかったのか。
良い点
[`~]=[Fn]+[ESC]がある
P65にはコレが無かったので、F65を避けた人もいるかも知れません。
打鍵音、打鍵感が良い
打鍵感・打鍵音の欄を御覧ください。
スムーズに押し込めて、反発もちょうどよく、安心のEPOMAKERクオリティです。
VIA対応
Bluetooth接続やRGB制御に割り当てられているキーも、割当変更できます。ノブの回転と押し込みも変更可能です。
説明書とJSONファイルはここからダウンロード
高級感と重量感
ビルドクオリティについて全く不満がないどころか、随分高価なキーボードの質感です。
ただし、私が選んだ色(カーキ)は金属部は存在感が抜群なものの、キーキャップは地味な色です。そのせいで販売ページの画像では高価には見えませんが、金属筐体に光が当たると急に高級感が出てきます。

悪い点
「Delete」を打とうとしてノブに指が触れる
「Delete」が右上隅にあるキーボードを長く使ってきていると、ノブを叩いてしまうのはもちろんのこと、「\|」の右が「Delete」だと分かっていても、ノブが他のキーより背が高いので誤爆しやすいです。
ノブのクリックは力を入れて押し込む必要があります。誤爆とは言ってもタイピング程度の打鍵圧ではノブの誤クリックになりません。
65%キーボードにノブを付けるなら、75%キーボード用とは背の高さが低い専用ノブを使うのが良いと思います。いっそのこと反時計回りにBackSpace、時計回りにDelを割り当ててみるとどうなのだろう、と思いました。


値段が高い
通常価格2万円以上。(現在アマゾンセールの対象になったことがありませんので、セール価格は不明) VIA対応か為替レートの影響か、コスパの良いキーボードの印象はやや薄れました。
VIAに興味が無く75%配列でも良いなら、1万円台前半で購入できるP75もオススメ(レビュー記事です)です。在庫が無くなりそうです。再入荷はあるのでしょうか。
不具合
- Bluetooth接続時にディープスリープに入らず、Bluetooth接続が切断されない。2時間経っても、翌日になっても接続中のままでした。
- Windows PCとiPadで確認しました。
- 確認しづらいですが2.4gHz接続時でも同様と考えています。説明書に記載されているように、ディープスリープに入っているなら最初の1打はウェイクアップに使われて2打目以降が入力されるはずです。2.4gHzでも最初の打鍵からテキストエディタに文字入力されています。
- Bluetooth接続時にVIAのMod-Tapが正常動作しない。
- Altキーに短押しでIMEのONまたはOFF。長押しでAltになるように設定しても正常に動作しません。長押しだけ機能し、短押しは入力無し(割当なし?)になってしまいます。
- INT、LNGに割り当てられている機能がおかしな動作になっている感じです。それらに依存しない英語環境では発見されないと思われます。
【Winアプリ紹介】初めてUS配列キーボードを使う人へ OSの設定を変更せずにUS配列キーボードを使うアプリ 【USkey2JP】
この記事で紹介しているアプリ作者のMusashino SoftwareさんがWebKeyEventというツールを公開されていて、それを使って確認しても入力無し(割当なし)扱いになっているようでした。
どんな人にオススメ?
- ファンクションキーは不要で小型金属筐体メカニカルキーボードが欲しい人。
- Del、PgUp、PgDnの左に隙間あるキーボードが欲しい人。(Galaxy65と異なる点)
- 柔軟なキーカスタマイズはしたいが、VIAのMod-Tapまでは求めていない人。
- 有線接続が中心、もしくは有線無線併用の人。
これらに当てはまる人は、買って満足できるキーボードだと思います。
さいごに
ハードウェア面は特に不満を感じていません。不具合が解決するかしないかで、オススメできるかどうかが変わります。
EPOMAKERのキーボードはアマゾンでセール対象になります。その点でもセール前の今は積極的に狙う時期ではないと思います。
同サイズでほぼ同じ配列のGalaxy65も比較対象になるのですが、同時期に出た製品なので、ファームウェアが類似のバグを持っている可能性はあります。VIAのことは言語切り替えに関係するので海外のレビューは参考になりませんので注意が必要です。