はじめに

 以前、Makuakeで支援購入したキーボードが届くまでの事を記事に書きました。その購入品がNiz x99有線キーボードです。

 今回の記事はそのNizx99の以下の内容です。

  • Niz x99有線キーボードの簡易レビュー
  • 説明書のダウンロード場所

 キャリブレーションツールについても書いてありますが、使用は自己責任でお願いします。x99のマニュアルには出てこないツールです。存在している事を伝えるために書いているのであって、このツールを使うことを勧めているのではありません。

使用感

まず結論

 Niz x99有線接続はお勧めしずらいキーボードでした。自作PCをやっているような人、トラブルに自分で対応できる人なら許容できるかもしれません。
 出した値段なりのサポートを期待する人にはお勧めできません。

良い点

  • REALFORCE R3のテンキーレスとほぼ同サイズでありながらテンキーがある。
  • 静電容量無接点方式の心地よい打ち心地です。キーの動きがとてもスムーズで打鍵感最高です。
  • 打鍵音がHHKB Professional HYBRID Type-Sより静か
    専用アプリを使わずにCapsLockと左下Ctrlキーを入れ替えることが出来ます。HHKBのCTRLキーの配置ですね。キーボードマニアの気持ちを分かってくれているようで嬉しいですね。
  • APC機能あり

気になる点

  • 押下圧が低いこと。押下圧35g。
  • キーの色が白で汚れが手垢汚れが目立つこと。
  • 付属のケーブルを使わない場合は、使用できるUSBケーブルに制限があること。コネクタ部分が小さくて細めのケーブルしか刺さらない。映像出力できるような太めのUSBケーブルは使えません。
  • フルサイズキーボードとの違い。


 フルサイズキーボードとの違いとは、Home、End、PgUp、PgDnの並び順と、テンキー「1」の下に「0」が無い点です。経理職等で電卓とテンキーをよく使っている人は、購入後に慣れの時間が必要です。しかし、このテンキーに慣れると電卓使用に支障が出そうです。

悪い点

  • 筐体に歪みがある個体が存在する。
  • キーの反応が悪い事がある。
  • キャリブレーションツールの存在が周知されていない。
  • キャリブレーションツールがWindows11で起動しない。
  • キャリブレーションツールのMac版が無いようです。

筐体に歪みがある個体の存在

 筐体の歪みについてはアマゾンの販売ページにも書いてあったと思います。歪んでいてガタガタするときは、自分でひねって整えてくださいと。
 随分乱暴なと思ったのですが、私の所有しているHHKBも歪んでいて、自分でひねってガタツキを直しました。買った個体が歪んでいた時に、HHKBでも同じことがあるらしいからしょうが無い。そのように思うことができれば良いのですが。

キーの反応が悪い事がある(悪くなることがある)

 最初からキーの反応が悪い、若しくは使っていくと反応が悪くなるキーがあるようです。

 私の場合はエンターキーと下矢印でした。APC機能を使って入力認識位置を深く設定すると、10回叩いても6回くらいしか正常に入力されませんでした。アクチュエーションポイントを一番浅くしていれば問題なく入力出来ていました。
 同じ静電容量無接点方式のHHKBやREALFORCEとは出荷時の品質管理レベルが違うようです。同じ方式のスイッチであっても耐久性が違うのかもしれません。

 対応策は用意されていて、「NiZ キーボード 無線シリーズ ユーザーズマニュアル」の最後に書いてある「NIZ Correction tools」というキャリブレーションツールです。このツールを使うことで、入力感度を正常化する事ができます。
 このマニュアルはx99のマニュアルではなくて、NiZ Mini84 Proのマニュアルです。そのツールをx99に使いましょうとは言えないです。私は使ってキー入力が修正されたので良かったのですが、みなさんも同じ結果になるとは限りません。

キャリブレーションツールの存在が周知されていない。

 x99の説明書にはこのツールの存在は書かれていません。NiZ Mini84 Proの説明書PDFの最後に書いてあるツールなのでx99ユーザーはツールの存在を知らない人が多そうです。

GoogleドライブのNIZ keyboard firmware&upgradeの中の「CalibrationLite Download」の中にあります。

  • 説明書上の名称は「NIZ Correction tools」
  • ダウンロードフォルダの名称は「CalibrationLite」
  • 実行ファイル名はCalibrationLite.exe

使い方は説明書を見ていただくのが安全です。有線接続必須です。

キャリブレーションツールがWindows11で起動しない

 起動させようとすると幾つかのDLLファイルが無いというエラーが出てしまいます。古い Visual C++ ランタイムのようです。CalibrationLite.exeの配布場所でDLLファイルも配布されているのですがMSVCR100.dllだけは配布されていません。以前使っていたWindows8のマシンの中から探し出してCalibrationLite.exeと同じ場所に置いてランタイムのエラーは出なくなりましたが、今度は別のエラーが出て起動しません。今度は『アプリケーションを正しく起動できませんでした(0xc000007b)。[OK]をクリックしてアプリケーションを閉じてください。』とエラーが出ました。

 実行ファイルのプロパティを見ると2020年に作られたようで、Windows11 Pro 24H2では起動できないのだろうと判断して、以前使っていたWindows8のマシンにファイルを移動し、キーボードもそのマシンに繋いでようやく起動させました。

 ここまで手がかかるキーボードを他人にオススメするのはどうなのかと思っています。正常動作している現在の使用感はとても良いのですが。

キャリブレーションツールのMac版がない

 Mac版を探しましたが無いようです。Macユーザーでキー入力がおかしくなった場合はお手上げです。

購入後に注意してほしいこと

不必要にキーキャップを外さないこと。
 スペース、シフト、caps lock等の横に長いキーキャップは外すと元に戻すのが大変です。最近のキーボードならスタビライザーの部品はプレートの裏に固定されていて、キーキャップを外してもスタビライザーがバラバラにならないのです。このキーボードはスタビライザーがプレートの上に載っているので、キーキャップを外すと部品が取れてしまいます。元に戻すにはピンセットが必要と思ってください。

 販売ページには

分解することが簡単です

キーボードのキーが独立しているため、取り外して掃除したり、壊れたキーだけを交換して修理することができるというのはメリットの一つです。

と書いてあります。確かに分解は簡単。でも戻すのは大変です。

NIZのキーオードは不必要にキーキャップを外してならない。
画像はNIZ Mini84-proのエンターキーを外そうとしたところ。X99も同じ構造。

 スタビライザーの金属線や、その金属線をキーキャップに固定するための白いプラパーツが見える。この構造を知らずに力でキャップを外すと部品を折ってしまうかもしれない。丁寧にキーキャップを完全に外すのは可能ですが、金属線固定の2つのパーツと金属線がバラバラに外れてしまい戻すのが大変です。
 ピンセットがあれば元に戻せます。

説明書ダウンロード

NiZ support(support.niz.store)
有線なので「NiZ-X99-1M」をクリックしてGoogle Driveからダウンロードできます。
専用ソフトウェア・ファームウェア・仕様書(説明書)があります。
リンクが切れていれば
https://support.niz.store/portal
ここからたどっていけばいいかも。

さいごに

 品質のばらつき、ソフトウェアの質、マニュアルとキャリブレーションツールの不完全な配布などが気になりました。
 中国のユーザーにとっては当たり前の水準なのかもしれません。しかし、私達は日本のメーカーを知っています。
 HHKBやREALFORCEはもっとしっかりした品質管理とサポートをしています。そのHHKBやREALFORCEですら高いと言われているのを知っています。同じ静電容量無接点方式のキーボードで、ほぼ価格帯も同じ。それでこの有り様では読者の皆さんにオススメしづらいです。

 私はPCとキーボードはに慣れていたので許容し使い続けますが、他人に勧めはしない。そんな感じです。

 最近 NiZ L84、NiZ L99を発表しました。Makuakeの早割で約33,000円。通常価格41,980円だそうです。おそらくアマゾンに出てしばらくすると常時クーポンが付くようになるとは思いますが、15%OFFとして約35,000円。その値段をなりのサポートが有るのか不安です。

おまけ マクアケ先行販売分に付属していた取扱説明書の画像

Niz x99 有線キーボードの間違った説明書 表面
表面は正しいようだ
Niz x99 有線キーボードの間違った説明書 裏面
裏面は信じてはいけない

 どこが間違っているかというと、裏面についてはアッチもコッチも。おそらく無線接続できる他の製品の取扱説明書をそのまま流用したのだと思います。
 先行生産分に付属する仮の取扱説明書なので、それに文句を言ってもしょうがないと思います。正式発売後はまともな物が付いてくると思いたいですね。

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