はじめに
発売を楽しみにしていたので日本のアマゾンに登場してすぐに購入したのですが、不具合を発見し現在サポートにメールで報告しました。VIAの動作について動画を送って欲しいと返信が来たので動画も送りました。(2025年5月中旬時点)
4週間経ちましたが状況に変化は有りません。
私が購入した個体で実際に発生したことを書いていますが、他の個体でも発生する問題なのか、他の個体は大丈夫なのか、なんとも言えません。
まず結論
- 有線接続キーボードとしてなら、打鍵音を楽しむ65%キーボードとして不満がない。
- Bluetoothと2.4Ghz接続時に問題があるので、無線オンリーの人は待ちです。
- 私個人としては満足度ハードウェア面95点。ソフトウェア面70点。
購入理由
- カーソルキーは有りでファンクションキーは不要。カーソルキー付きのHHKB US配列のようなキーボードが欲しかった
- 右Shift周辺がREALFORCE RC1のように小さいキーなのは嫌。
- 打鍵音を楽しむキーボードは、気分転換にサッと取り出してサッと片付けられるサイズが良い。
- 打鍵音を楽しむキーボードをメインキーボードにすると疲れるから、コンパクトサイズキーボードで打鍵音を楽しみたいと思っていた。
特徴
- 65%キーボード。
- Del、PgUp、PgDnの左に隙間あり。
- アルミ削り出しの重量感ある筐体。
- Bluetooth接続、USB有線接続、2.4gHz無線接続USBドングル使用の3種類の接続方法がある。
- 右上にノブあり。
- キーキャップはCherryプロファイル。交換用のキーキャプを入手しやすい。
- VIA対応でキーマップ変更が柔軟。
- 南向きのRGBライトで強めに光らせることが出来る。
- 反響音もなくクリーンな打鍵音。
- 重量感ある筐体で所有欲が満たせる。
- 技適認証取得済み。

サイズ・重量
サイズ:320 x 116 x 43mm
重量:1.285kg
付属品

- 説明書
- 予備キースイッチ
- キープラー
- USBケーブル USB-C-A
- 2.4Ghz接続用USBドングル
- 六角レンチ

接続方式

Bluetooth接続は3台のデバイスとペアリング可能。
USB有線接続はキーボード側Type-C。
2.4gHz無線接続ドングルは背後に収納できる。
キースイッチ
Switch Name | Epomaker Zebra Switch | Wisteria Linear Switch |
---|---|---|
Switch Type | 5-pin Linear, Factory Lubed | 5-pin Linear, Factory Lubed |
Trigger Force | 40±3 gf | 45±3 gf |
Bottom-out Force | 45±5 gf | 62±5 gf |
Pre-Travel | 1.8±0.3mm | 2.0±0.3mm |
Total Travel | 3.8mm | 3.6±0.3mm |
Material | POM (Stem), PC (Top Case), Nylon (Bottom Case) | POM & PTFE (Stem), PC (Top Case), PA66 (Bottom Case) |
Life spans | 5,000,000 | 5,000,000 |
引用元
EPOMAKER Wisteria Switches Set
打鍵感・打鍵音
押下圧45gのWisteria Linear Switchを選んだのですが、HHKB、REALFORCE RC1の45gより軽く感じます。NiZ Mini84 Proの35gよりは重いです。
同じ45g圧でも、メカニカルリニアと静電容量無接点方式では機構が違うので、より軽いと感じているだけかもしれません。45gのHHKBより軽いと感じる人がいても、重いと感じる人は稀だと思います。
P75のZebra Switchと比べると、Zebra Switchの方が少ない押下圧でタイピングが出来る印象です。Pre-Travelの0.2mmの差は体感できませんでした。
Wisteria Linear Switchの打鍵音量はP75のZebra Switchより音量が小さいです。叩き方の影響もあると思います。
Galaxy70のPetal Switchの打鍵音と比べると、Wisteria Linear SwitchとZebra Switchの打鍵音の差は無いと言ってもいいレベルです。Wisteria Linear SwitchとZebra Switchは同型とのカツカツ系。Petal Switchのコトコトとは系統が違います。
少しでも打鍵圧を軽くしたいならZebra Switch。音量を僅かでも小さくしたいならWisteria Linear Switch。
NKROと6KROの切り替えができる?
NKRO(Nキーロールオーバー)と6KRO(6キーロールオーバー)を「Fn」+「N」で切り替え可能です。
VIAのKey Tester上ではNKROの場合に、キーを順番に押しっぱなしにしていくと7キー目以降も入力を認識出来ていました。ただしEPOMAKERの考えるNキーロールオーバーと6キーロールオーバーの定義が分からないので、正常動作できているのかよく分かりません。
下記URLにあるように、Nキーロールオーバーの定義は曖昧です。リンク先に良い表現がされている場所があるので紹介させていただきます。
「新たなUSBキーボード特有の制約により生まれた差異をうまく表現できないかな、という欲求から用語の語意の乗っ取りが生じた」
Nキーロールオーバーって何?を調べていくと、ここが重要なポイントになっていると思います。PS/2ポート時代、USB登場以降、中国メーカー台頭、ゲーミング市場誕生と時代が変わって用語に変化があるようです。中国メーカーによる売るための独自解釈と、ゲーミング市場が求める機能を「Nキーロールオーバー」という用語に当てはめて、さらなる用語の語意の乗っ取りが生じているかもしれません。
Nキーロールオーバー – みねこあ
続 Nキーロールオーバー – みねこあ
スリープ
- パワーセービングモード:3分間放置でバックライトが消灯。
- ディープスリープ:30分放置でBluetooth切断。これが機能していない。
P75、Galxy70のような専用アプリはなく、スリープ時間の設定変更が出来ません。
もしかすると、専用アプリで管理していた機能の一部(スリープなど)が、アプリを無くしたことで消えてしまった可能性もあります。専用アプリを無くしたのに機能追加しなかったのか。
良い点
[`~]=[Fn]+[ESC]がある
P65にはコレが無かったので、F65を避けた人もいるかも知れません。
打鍵音、打鍵感が良い
打鍵感・打鍵音の欄を御覧ください。
スムーズに押し込めて、反発もちょうどよく、安心のEPOMAKERクオリティです。
VIA対応
Bluetooth接続やRGB制御に割り当てられているキーも、割当変更できます。ノブの回転と押し込みも変更可能です。
説明書とJSONファイルはここからダウンロード
高級感と重量感
ビルドクオリティについて全く不満がないどころか、随分高価なキーボードの質感です。
ただし、私が選んだ色(カーキ)は金属部は存在感が抜群なものの、キーキャップは地味な色です。そのせいで販売ページの画像では高価には見えませんが、金属筐体に光が当たると急に高級感が出てきます。

悪い点
「Delete」を打とうとしてノブに指が当たる
「Delete」が右上隅にあるキーボードを長く使ってきていると、ノブを叩いてしまうのはもちろんのこと、「\|」の右が「Delete」だと分かっていても、ノブが他のキーより背が高いので誤爆しやすいです。
ノブのクリックは力を入れて押し込む必要があります。誤爆とは言ってもタイピング程度の打鍵圧ではノブの誤クリックになりません。Deleteを打つ時に指があたって、手が止まって意識を持っていかれる程度です。
65%キーボードにノブを付けるなら、75%キーボード用とは別の背の低い専用ノブを使うのが良いと思います。いっそのこと反時計回りにBackSpace、時計回りにDelを割り当ててみるとどうなのだろう、と思いました。


値段が高い
通常価格2万円以上。(現在アマゾンセールの対象になったことがありませんので、セール価格は不明)
この値段はVIA対応か為替レートの影響か、EPOMAKERのキーボードはコスパが良いという印象はやや薄れました。他社の金属筐体キーボードはもっと高価なものがありますが、EPOMAKERにはP75、Galaxy70のような、とんでもなくお買い得な金属筐体キーボードがあります。それらの在庫があるうちは、どうしても比べてしまいます。
VIAに興味が無く75%配列でも良いなら、1万円台前半で購入できるP75もオススメ(レビュー記事です)です。在庫が無くなりそうです。再入荷はあるのでしょうか。
P75のアマゾンの在庫はなくなりました。
樹脂筐体でVIA未対応ならF65があります。過去にはクーポンを適用すると1万円を切っていました。
サイズが大きくて、VIA未対応の金属筐体ならGalaxy70が良かったです。
Galaxy70の過去記事です。これぞコトコト系の打鍵音です。


不具合
- Bluetooth接続時にディープスリープに入らず、Bluetooth接続が切断されない。2時間経っても、翌日になっても接続中のままでした。
- Windows PCとiPadで確認しました。
- 確認しづらいですが2.4gHz接続時でも同様と考えています。説明書に記載されているように、ディープスリープに入っているなら最初の1打はウェイクアップに使われて2打目以降が入力されるはずです。2.4gHzでも最初の打鍵からテキストエディタに文字入力されています。
- Bluetooth接続時にVIAのMod-Tapが正常動作しない。
- Altキーに短押しでIMEのONまたはOFF。長押しでAltになるように設定しても正常に動作しません。長押しだけ機能し、短押しは入力無し(割当なし?)になってしまいます。
- INT、LNGに割り当てられている機能がおかしな動作になっている感じです。それらに依存しない英語環境では発見されないと思われます。外国人のレビューでは参考になりません。
- 有線接続時には正常なので、設定は出来ていると言えます。
- VIAに接続する時に、毎回JSONファイルの読み込みが必要になっている。
- VIAに対応と言って良いのか疑問があります。
【Winアプリ紹介】初めてUS配列キーボードを使う人へ OSの設定を変更せずにUS配列キーボードを使うアプリ 【USkey2JP】
この記事で紹介しているアプリ作者のMusashino SoftwareさんがWebKeyEventというツールを公開されていて、それを使って確認しても入力無し(割当なし)扱いになっているようでした。
どんな人にオススメ?
- ファンクションキーは不要で小型金属筐体メカニカルキーボードが欲しい人。
- Del、PgUp、PgDnの左に隙間あるキーボードが欲しい人。(Galaxy65と異なる点)
- 柔軟なキーカスタマイズはしたいが、VIAのMod-Tapまでは求めていない人。
- 有線接続が中心、もしくは有線無線併用の人。
これらに当てはまる人は、買って満足できるキーボードだと思います。
さいごに
ハードウェア面は特に不満を感じていません。ソフトウェア面の不具合が解決するかしないかで、オススメできるかどうかが変わります。
同サイズでほぼ同じ配列のGalaxy65も購入候補になるのですが、同時期に出た製品なので、ファームウェアが類似のバグを持っている可能性はあります。VIAのことは言語切り替えに関係するので海外のレビューは参考になりませんので注意が必要です。
リンク
説明書、JSONファイル、ファームウェアダウンロード
ここでP65と入力して検索
Firmware – epomaker